我輩ハ米デアル 名前ハ未ダ無イ

新潟は米どころ、という認識は、実は新しい。 戦前の政府調査において、新潟は米の産地としてはランク外の扱いをしていた程だ。 稲の乾燥期に雨量が多く、弱い食味となるのが要因らしい。 そう、コシヒカリという早稲米が出るまでは新潟の米はそれほど品質の面では評価されていなかった。 逆を言うと、コシヒカリが新潟を日本の穀倉へと押し上げたのである。 昔の有力米所の1つが、肥前・肥後であった。 そして今年、その肥前の国佐賀より新しい米が市場デビューする。 その米は、まだ名を持たない。 今は開発名のまま呼ばれており、既に大きな反響を呼んでいる。 その米の名は『佐賀27号』である。
この米は、大きい。 そして粒揃いである。 炊いた時の米の輝きは非常に美しく、見た目でも際立っている。 弾力もあり食感も楽しい。 そして何よりうまい。 個性は強いが、それでいて食味のバランスも良い米として、ひのひかりに匹敵する米となる、いや九州を代表する米となるであろう。 料理との取り合わせによって個性が際立つ、今までの米とは少し違う、主役としての米となりうる米である。 私はこの米の大ファンだ。 『米世界のファンバステン』と呼ぶに相応しい。 いもち病に弱いのが欠点だが、怪我に泣いたファンバステンとこの辺りまで似ている。
ひのひかり天下の九州において、この米は人気を二分する米になるであろうが、ひのひかりの持たないこの米の魅力は、関西、そして遠く関東でも勝負できる米というところだ。 その個性故に一般にどう迎えられるか、その評価は未知数だが、大きく応援したい米だ。
気になるのは名前だ。 『夢しずく』のようではソフト過ぎるし、『ぴかいち』では軽すぎる。 いつ発表になるのか知らないが、こちらも興味深々だ。 いずれにせよ、この秋九州を中心に市場デビューとなる。 是非試して欲しい。