佐賀からの手紙

今日は佐賀から直送の米が届く。 90俵なので、30kgの米袋で180袋。 店の前に通る細い道に、朝早くから、どう考えても場違いなでかさのトレーラーが横付けされていた。 米が入る日の朝、会社に向かって歩いているとずっと手前からそんなトラックが見えると正直萎えてしまう。
大抵産地からの配送では、運転手に助手が一人付くことになっている。 我々ももちろん運ぶが、うちのような小さな店では手伝いが付いてもらわないとかなり厳しい。 しかし今日は運転手1人。 しかもこちらも1人が休みを取っているので手札が一枚足りない。 うーん、いかん。
いつもはおじさんが多いが、今日の運転手は若い茶髪のにいちゃんだった。 礼儀正しく、よく動き、佐賀の優しい訛りで話す好青年。 特に米の積み方が非常に丁寧だったのに驚いた。 産地から一晩通して運転してきて、その後に荷積みである。 疲れからいい加減だったりするものだし、それはそれで仕方ないと我々も思っている。 しかし、米の積みが甘いと我々には命取りとなる。 うちの店では20数坪の倉庫があるが、その中に多い時で60銘柄くらい米が保管されている。 つまり、やたらと高く積むのである。 床から20袋くらい、天井一杯にまで米が積み上げられる。 途中の1つが歪んでいると、じわじわとバランスを失い、3日後とかに突然崩れたりするのである。 600kgにもなろうかというその米の柱が倒れる時、それはもう『ブルータス、お前もか』的な衝撃となって我々を襲うのである。 運悪くその下にいた時など論外だ。 考えたくもない。
話はそれたが、今日はそれなりの覚悟をして出社はしたが、朝の荷積みはそれほど苦に感じなかった。 あの兄ちゃんが2人分働いたとは思わないが、それでもいつもよりだいぶ楽に感じたことは確かだ。 共同作業というものは、そのメンバーとの関係によってかくも大きく印象が変わるものかと思う。 ただ米を積むだけでこうなのだ。 デスクワークならなおさらだろうと今更ながらに納得してしまった。
ちなみにその兄ちゃんは、今度は卸に同じ量の米をそのまま降ろしに行くようだった。 さわやかな佇まいながら、タフな子である。 一緒に働くとき、妙に和やかになってしまう不思議な青年だった。 そしてたぶん、佐賀はいいとこだ