マイナス5000企業

Sustainable Japan 2004
http://www.asahi.com/ad/clients/sj2004/index.html
カミサンの会社でチケットが余った、というか行けない人が出来たらしいので参加させてもらう。 場所は水天宮。 安藤忠雄さんが午前に出るらしいので行こうかとも思ったが、朝弱いので簡単に挫折し午後から。 目的は、と言うより行く唯一の動機はレスター・ブラウン博士の特別公演。
http://www.worldwatch-japan.org/
レスター・ブラウン博士はエコ・エコロジー(勝手に略して『エコエコ』)の著者であり、環境経済学界では著名な方だ。 私は環境経済学にそもそもさほど強い関心を持ってはいない。 しかし、一フィールドにおいて認められる人間の言うべきことには学ぶべきものが多いであろう。 ブラウン博士の本は家にも転がっていたが読んでおらず、昨日と今日の午前中にさっと流して読むという付け焼刃で水天宮に向かった。
公演時間は45分、くらい。 公演のタイトルは『21世紀の企業が果たすべき責任』であったが、内容的には氏の著書の要約のような感じであり、少々がっかりした。 このSustainable Japanというイベントの権威がいかなるものかも知らない(そこそこだとは思った)ので何とも言いがたいが、アカデミックとは決して言いにくく、企業向けアピールイベントというところだろう。 残念ながら、それは私の求めているものではない。 1つ世界の穀類生産量の減少とその原因となる地下水水位の低下と温暖化に関しての説明は非常に分かり易かった。 が、結局そこから『だから頑張ろう』的な結論に直結してしまう所に、タイムテーブルの厳しさを感じた。
簡単ながら思ったこと、氏の提言の多くは納得できる事が多い。 氏の提言は環境保護運動ではない。 氏の目的は経済学のパラダイムシフトだ。 しかし、その提言の根底となる経済サイドのアプローチは純経済学と言っていい。 つまり政治と経済との繋がりへの言及があまりない。 さて、根本的な質問となるのが、『果たして民間企業努力で氏の提案は実行可能か』というところだ。 応えは否だ。 環境ISO取得の為に経営組織ISOで得た優位を相殺させてしまうような『マイナス5000企業』(つまり9000-14000=-5000)に、経済を好転化させる成果を期待すること自体無理である。 当然、氏の提言も民間企業のみを対象としたものではなく、民間企業のみを対象とした運動をしている訳でも決して無い。 しかし、氏の活動は民間にでの評価に比べて公での評価が低い。 氏の目標は環境的経営改善にあるが、企業が求めているのは環境的マーケティング効果にある。 いや、環境経営を見て環境マーケティングと誤解している。 経営、およびマーケティングに対する認識が、日本企業のトップマネジメントにおいて非常に低いことが原因であろう。 日本でなくても、さほど高くは無い。 様は、より経営が分かり、よりマーケティングが分かって初めて、氏の提言が意味を成すということだ。 トラップもまともに出来ない人間が、マルセイユルーレットの練習をしてもフィールドでは使い物にならないのと同じだ。 そして、環境破壊の危険性が氏の言う程の急務であれば、企業の経営体質改善は間に合わない。
http://www.worldwatch-japan.org/EPI/6_4.htm
こっちに参加しても良かったかなぁと今更思うが、一週間に2日は同じようなイベントで休めない。 そう、今日は会社を休んだ、と言うより午後から公演を聴きに行きたいと言ったら丸一日休みをもらえた。 いやいや、有難い。