『これは一体何と呼ばれているんだ?』

http://www.guggen.jp/
グッゲンハイム美術館展がbunkamuraで開催される。 今週日曜日の予定はこれで決まり。 と思ったが、ちょっとほとぼりが冷めるまで待ってみることにしよう。 私はカンディンスキーを敬愛しているが、実はワールドカップ開催直後に竹橋の国立美術館で『カンディンスキー展』が開催されていたのを知りつつも多忙で行けなかったという罪の意識をずっと持っていた。 私もようやくこの呪縛から解かれる。 カンディンスキーの作品は4点だが、呪縛を解くには充分だ。
グッゲンハイム美術館をデザインしたのがフランク・ロイド・ライトなのは有名だが、グッゲンハイムが実際に建築されるまでには様々な障害があったことも有名だ。 ニューヨーク州建築基準法によれば、あの建物はあそこに建ってはいけないのだ。 つまり例外的に認められたという経緯がある。 建築許可取得が難航していた時、当時のニューヨーク知事(だったと思う)が『あそこにグッゲンハイムが建つ』とゴリ押しで通したのだ。 そもそも建ててはいけない美術館を設計するライトもライトだが、それをほんとに建ててしまうところにアメリカの気合が感じられる。 アメリカは文化に弱い。 ヨーロッパに対して、歴史の浅さによる文化度に対して強いコンプレックスを持っていることはあまり知られていないが、そんな感情も後押ししていたのかも知れない。
当時のライトは、一時期の名声とは裏腹にキャリアの下降気味にあった。 最後にグッゲンハイムを建てたのは彼にとっての意地かも知れない。 ちなみにライトがかなりの頑固ジジイであったのも有名だが、彼は特に造形美術や建築以外に関しては非寛容であった。 (よくよく考えれば、新しい建築の潮流にも非寛容であった。 つまり頑固ジジイなのだ。) グッゲンハイムの内部公開に同席したライトは、カンディンスキーの名画を見てこう言ったそうである。

What do you call this staff?

ライトにとって、美術館こそがアートであり、中で展示されている絵画は飾りなのであろう。 頑固ジジイでもいいではないか、そんな風に思う。 最後まで頑固ジジイで通したのだから。