『経営学』学

マネジメント[エッセンシャル版] − 基本と原則
ISBN:4478410232
読破。 というより要約なので読んでどうこうというものでもないが。 ちょっと経営の勉強について漠然と考えた。
この本を初めて読んだのは、7年程前のことである。 経営学というものを勉強してさほど時間もたっておらず、『ふーん』というくらいにしか思っていなかった。 私は経営学に、名だたるライバル企業を薙ぎ倒すような、瀕死の企業を救い出すような、そんなものを求めていた。 この本を初めて読んだ時も、いつそういった本質が出てくるかと思っているうちに終わった(いや、900ページくらいあったはずだから、かなり早いうちから薄々気付いてはいたが。)のを覚えている。 この本に書かれていることは、経営学にとってはしごく当然の事となっているものであり、しかも明確に書かれてはいるが問題への解法等は全く書かれていない。 書きようも無いが、いずれにせよこの本を読んで経営者がより良い経営者になることがなければ、経営に興味を持っている人間が読んでもそれだけではあまり意味は無いだろう。 そう、この本は読んでいて正直つまらない。 この点が、最近のMBA信仰の中でドラッカーの名前は出てくるが、この本を読んだことの無い人が多い理由だろう。 ポーターの方がインパクトがあってまだ面白い、というのが正直なところではないだろうか。
経済学でいう国富論もそうだ。 あの本もつまらない。 延々と釘だかなんだかを家内制手工業で製造するときの話が書かれていたり、需要と供給の話が何度も出てきたりするが、読んで『なるほどっ、そうだったのかっ』という印象を与えない。 しかも当時のアカデミアでは論文の形式がまだ定まっていないのか、一文がとてつもなく長かったりしてそれはもう読みにくい。 それはマルクスの方がインパクトがあって面白いだろう。 
国富論最大の貢献は、それまで漠然とあった組織における作業効率や、輸入や輸出の是非、市場のダイナミズムといった事を、『科学的に』検証したことである。 アダム・スミスがいなくても経済は存在したが、経済学は存在しなかったであろう。 経営学はちょっと違う。 経営学における『国富論』は、テイラーの『科学的管理法』である。 ドラッカーの理論は、経済学でいうケインズなようなものだ。 強引過ぎか? いや、当たらずと言えど遠からずだと思う。
こう考えると、社会科学というのはその発展の推移にある程度のパターンがあるように思える。 そしてその発展の一役を担ったという意味においてドラッカーのこの本は非常に重要であり、経営学を学ぶ上で決して無視することはできない。 だらだら書いたが、ようは『この本を読んだからといってどうってことはないが、読んでいないと何も分からん』ということだ。 ただ1つだけ言いたいのは、この本を要約すると、やたらと安っぽく感じる。 本が長いというのは、結構意味があったりするのかも知れない。 いや、失言だ、忘れて欲しい。