NAFTAの存在意義

http://www.nytimes.com/2003/11/19/international/americas/19NAFT.html
アメリカ・メキシコの相互、特に90年代半ばに財政危機にあったメキシコ、にとって、NAFTAは有意義な条約であったのだろうか? そんな議論は今までも聞いたが、「どうもそうではない」ということだろう。 メキシコが期待したアメリカ資本の投下は確かに存在する。 ただし代償として、地方小作農の多くから職を奪い、貧富の差を拡大させることとなった。 確かにメキシコは財政危機からは脱出したが、はたしてメキシコにとって利益のある、いや今後続けていく利益のあるものなのだろうか? 一方のアメリカでも、ペローなどアメリカの失業率の悪化を危険視する声は多く上がった。 リポートによると、その損害も大したものではないようだ。

では、この条約を続ける意味は?
おそらく「そう簡単に辞めるわけにはいかない」というのが大きな理由だろう。 今の成果はともかく、条約を廃止してしまえばもちろん現在NAFTAから恩恵を受けている大規模農場の経営者にとって大打撃になるであろう。 また、廃止したことによって畑を追われた小作農に畑が返ってくる訳ではない。 それはアメリカとて同じことである。 未開発市場への資本投下を前提としたこの手の条約は、廃止すると当然投下した資本自体が無駄になる。 失業率も上がりこそすれ、下がる事は無いであろう。

NAFTAにはずっと比較的好意的な印象を持っていたが、もしかするとメキシコにとって利子の大きな借金であり、アメリカにとってリターンの少ない投資なのかも知れないとも思うようになった。 ましたNAFTAは締結時点でも賛否両論だったのだから、今後も悩みの種となるのではないだろうか。 拡大版NAFTAの話も出ているが、そんなことをすれば現NAFTAは何の意味も持たなくなってしまう。 これでは問題を解決したしたことにはならない